森で過ごすとリラックスしたり、元気になったり、安らぎを感じたり―そんな経験がある人は多いはずです。
そんな風に森で過ごす「森林浴」は、1982年に林野庁によって提唱されました。その後1990年代からこころとからだに及ぼす影響について医学的な研究が進められ、今では様々な健康効果が実証されています。
林野庁のHPには“森林は、安らぎや癒しの効果をもつ空間であり、フィトンチッドと呼ばれる樹木からの揮発性物質を含めて健康増進効果があると言われています。”と記載されています。
森林浴に行くことで体や心にはどんな変化があるのでしょう?
ストレスフルな現代に生きるわたしたちにとって、ありがたい森からの恩恵の一部をご紹介します。
|森林浴の健康効果
森林浴には即効性のある治療効果がある訳ではありませんが、研究によって様々な健康効果が実証されています。
怒りや不安、疲労や混乱の気分が低下し、活気の気分が上がる
こころの中にもやもやが溜まってきたら森に出かけて深呼吸、気分をリフレッシュ。気持ちの切り替えスイッチをお守りのようにいくつかストックしておくと少し安心です。
自律神経系のバランスが整い、ストレスホルモンが減少する
何かと自律神経系が乱れがち、交感神経が優位になりすぎるわたしたち現代人にとってはうれしい効果。そもそも人はゆれる生き物、アンバランスも悪いことではなく回復できる力も同時に備わっています。定期的に森で過ごすことでしなやかにゆれる強さを育み、同時に自分自身への信頼を深めてゆけたらと思います。
睡眠が改善される
すこやかさの土台をつくるのはなんといっても質の良い睡眠。ぐっすり眠れて気持ちよく目覚められた日はうれしいですよね。休息があるからこそ、わたしたちは日々を活動的に過ごすことができます。
他にも
〇血圧・脈拍が下がる
〇免疫力の指標のひとつであるNK細胞が活性化する
等が挙げられます。(治療的な効果を謳っている訳でありません)
とは言え、成果や結果を求めて森に行くよりも“気持のいい森に行きたいな”という自分自身の感覚を優先する方が大切だなと思います。 “あ、今自分には森でゆっくりする時間が必要だな”と感じたら、緑や自然が豊かで自分自身がほっと安心できる場所へ出かけてみてください。
|森林浴ですることは?
日光浴は太陽の光を浴びること、海水浴は海で泳いだり浮かんだり、身を浸すこと。では森林浴は森を浴びます!と言われても“?”が浮かびますよね。
けれど森林浴では具体的にこれをするということは無く、森で心地のいい時間を持てたら十分です。
その時にポイントとなるのが五感で感じることです。
きっと自然に身を置いたときには誰でも無意識に色々な心地いい刺激をキャッチしているのだと思いますが、それを少しだけ意識しながら森で過ごしてみるとまた違った気付きがあるでしょう。
もちろん森林浴は一人でも可能で、自分のペースでゆっくりと過ごせます。けれど、森林浴には興味があっても一人で森を歩くのに不安を感じる方はまずはよかったら一緒に歩きましょう。
|こんな方に森林浴をおすすめ
- 体と心がなんだか疲れているなと感じる
- 普段パソコンやスマホを触る時間が長い、デスクワークが多い
- ストレスを感じていてリラックスした自分の時間を持ちたい
- 運動は苦手だけど歩くのは好き
- 自然と触れ合う機会が少ない、アウトドアが得意ではない
- 日常から距離をおいて自然の中でゆっくりと過ごしたい
- セルフケアとして定期的に森林浴を取り入れたい
日々やることも考えることもたくさん。加えてパソコンやスマホからの情報量も膨大に増えて、頭(思考)が優位になってしまう日常においては、意識的にスローダウンして休息をとることが必要です。
気持ちのいい森でゆっくり過ごしてみませんか。